「手のひら」


本当は誰もが
誰かを傷つけたいわけじゃない
何かほんのちょっとのすれ違いが
望まない痛みを生み出してしまっていたりするんだろう。
僕たちの日常を流れる物事の
全部は誰にも見えないし、
何処までが全てなのかすら解りはしない。
でも哀しい顔をしたい人なんて
きっと何処にもいないんだ。
 
ぱん、と小さく両手を合わせて目を閉じて
すっと背中を伸ばしたら、
三つ数えて目を開けて。
世界は変わらず穏やかなままに
君の前に広がっているだろう。
感じる少しだけの眩しさは
そんな世界からの、
小さな頑張れのエールなのかもしれない。

顔を上げて 
手のひらを上に。
たくさんの楽しいことを
君のその手に、乗せられるように。

         
         
         
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